のんびり続ける備忘録。   今年は節約しながら旅するのだ~


by imusam928
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コクーン歌舞伎『桜姫』歌舞伎版@シアターコクーン

d0036951_048011.jpg先週、6月に見た南米を舞台にした現代劇に脚色された『桜姫』、こんどは歌舞伎版で見た。
実は、歌舞伎版チケットが取れていなかったけど、現代版を見た後に追加席が発売になったのですかさず入手した。今回の『桜姫』は6~7月連続公演で、両方見ることで味わえる面白さがあった。同じ役や同じシーンを見比べると、また奥が深い。

追加席というので想像していた通りの座席位置。現代版のときにも同じように追加で出ていて、正面席と対面する舞台の裏側にあるスタンド席なのだ。現代版でその位置を見てて思ったのは、野球場で言うと外野席みたいな感じ?。観客にはもちろん丸見え、とはいえ四方向に客席のある舞台なので、観客はお互いサマなんだけど、見られる人数比率としては一番多い席になる。
だがこの席、なかなか楽しかった。

開演時間ギリギリに到着したため、オープニングの回想シーンは見られなかったけれど、そのあと開演数分後に案内されるのは、舞台の袖裏を回り、特設階段をあがっていく、まさにバックステージ。途中で裏方さんが走ってたり、カーテンの向こうに音響さんがいる。階段を上っていく途中、幕裏が見えて、登場寸前にスタンバイする清玄=勘九郎の姿がすぐそこにあった!!!席に着く前に興奮する!

ドキドキしながら、着いた席は・・・外野じゃないな、いわゆるバックネット裏。向こうが正面だけど、すぐ目の前で芝居が進行するというオイシイ席である。自分たちの座席の下を、役者や装置が出てはけて行く度に振動する臨場感。ほとんどのシーンや決めのポーズはやはり正面に向かっているので残念だけど、お芝居好き・歌舞伎好きには楽しめる席だと思う。




360度見られる前提で舞台装置も作られているから、2階席くらいの高さで舞台のすぐそばの位置から見下ろせるので全体がよくわかる。奈落から登場する様子も見えてしまったりする。回転する舞台の上で、役者は気を抜けなくて大変だろうけど、ちゃんと小芝居がちりばめられていてクスクス笑わされた。歌舞伎は客席を明るくしてるというけど、私たちの席は舞台の裏なので照明で常に明るい。だけどほかの3方の客席の顔がよく見えるのに驚いた。役者からバッチり丸見えだ。

この私たちのスタンド席に役者が立つときはドキドキした。正面客からは桜姫が高いところから降りてくるシーンだろうが、スポットライトと同時に振り返ると目の前に七之助がいる!しかしものすごいライトがまぶしい!私は恥ずかしくてまぶしくて前を見て目を伏せていました。通り過ぎる七之助、着物重そう・・・だけど、すごい斜度の小さな階段を降りていきました。ドキドキ。

歌舞伎特有の屋号の掛け声を”浴びる”という体験ができる。たいてい自分の席の手前とか脇のほうから聞こえるものだけど、舞台の役者を通して自分たちの正面に『中村屋!』(勘九郎、七之助)『成駒屋!!』(橋之助、扇雀)というのがステレオで自分に聞こえるのが変な感じ。
その掛け声がとぶとき、見得を切るのはどの芝居でも見られるけど、後ろからみることはあまりないこと。

衣装や髪型とかもチェック。日本髪の後ろってこうなってるんだとか、みんな座ってる姿勢がいいとか。桜姫(七之助)の座る後姿の少ししなった感じと白い首のかしげた様子の色っぽいこととか。
色っぽいといえば、権助の橋之助!調子のいい悪党だけど、桜姫に言い寄るシーンは権助がい六歩過ぎ、セクシー!いやこういうのは艶っぽいというのでしょうか。姫(七之助なんだけど)の着物を脱がして帯をほどき抱きかかえて押し倒す・・・キャー権助さま・・・と桜姫が言いそうなところで×(どっかで見た演出?)。
または横に座り自分の着物をたくし上げて両足で姫を挟んで抱きしめる。これも正面客は姫メインだけど後ろからは権助の足が丸見えで、なんかステキよ権助さま・・・な感じで見てしまいました(笑)。新聞インタビューの笑い話だけど勘九郎が6月はゴンザレス=権助、でも7月は七之助が桜姫なので息子とのラブシーンは精神的に・・・で辞退(笑)というのがわかる!?

ストーリー自体は現代版の南米版というのが強烈で難しく思えたけど、無茶で劇的な設定も歌舞伎のほうがしっくりするのは気のせいか。桜姫の物語というのがしっかりしてて私にはわかりやすかった。
父や兄弟を殺されて、出家しようとしていた桜姫は、実は一度だけ関係した男の子を産み、その男を忘れないように男と同じ刺青を腕に彫っていた。これだけで”姫”じゃないやん!と突っ込みたくなるが、公家の姫はそそとしてか弱く美しい。そんな不義で追放され、悲惨な生活のなかでも”姫”だ。だが、一度の男が忘れられなかったのか、その男に再会してどんどん転落して最後は女郎に。公家言葉だった姫が「オマエさん」とか「そんなぁ、しらねぇ~なぁ~」と崩れていく感じが生々しい。そんなめちゃくちゃな展開だが、芝居なので面白い。実際は私が解説なんかできない難しい物語だけど、七之助はがんばります!そんな姫をよくやりました。姫は人も殺してしまう。最後は強い女、女は強い、でも美しい。という華やかな印象的なフィナーレだったな。

冷静に考えれば同性愛だった清玄(勘九郎)は、愛を誓って心中し損ねた稚児の生まれ変わりが姫と信じ、僧でありながら破戒(戒めを破るってことね!)して女である姫に執着して、一緒に死んでくれとまでもつれ込むが、最後は姫に殺される。暗い人物だがこの清玄の存在が物語の重石になっていた気がします。

現代版でも古田・秋山という好きな役者が演じた残月=ココージオと音浦=イヴァのペアを彌十郎さんと扇雀さん。この二人もよかった。扇雀さんはちょっと癖のあるおばさんを演じると最高。コクーン歌舞伎ならではの現代劇的な演出で活き活きと動くのが大好き。ほんとにこういう人いそう、という言動から、ビックリする身のこなし、でもしっかり押さえるところは押さえる渋さ。彌十郎さんは背丈も大きいところやニヤツキ顔な感じが古田に似ている気がして、芝居の途中で何度かシンクロしてしまった。その点も好きなところなのかもしれない。

コクーン歌舞伎は15年目ということだが、おそらく最初のころの関係者や客の反応と今とじゃ大違いなんだろう。今でももしかしたら見えない風当たりはあるのかもしれないけれど、古典の歌舞伎とはべつにもうコクーン歌舞伎というジャンルになってる気がする。素直にお芝居を楽しんで、何かしらドキドキ感激・感動するという観劇の基本的な部分で満足して帰ることができるのだから。

d0036951_112463.jpg<参考>
古典は古典としてまた見に行かなくちゃ。
さよなら歌舞伎座公演も忘れずに行きたいです。歌舞伎座の独特の雰囲気がもう味わえなくなるので、行かなくちゃ、と思いながら行けてない。
コクーン歌舞伎で見た演目『夏祭浪花鑑』を、今度は歌舞伎で見て比べてみる。7月中に行かなくては!!
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by imusam928 | 2009-07-12 23:38 | 観劇