のんびり続ける備忘録。   今年は節約しながら旅するのだ~


by imusam928
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表裏源内蛙合戦@シアターコクーン

d0036951_1371715.jpgマラソン前はなんとなく控えていたけど、そのあとならとこれからは観劇開始!と、久しぶりだったのに、コクーンで開演18時半!と、気が付いたのは前日。机の上のものをそのまま引き出しに押し込んで職場からダッシュして間に合った。しかーし!休憩20分含めて4時間超の大作だった!!つ、疲れた。背中もお尻も痛くなった。でも、飽きることなく舞台に釘付け、しかと見入った、面白かった。
蜷川作品は好きでけっこう観ているけど、井上ひさし原作の演出は『天保12年のシェイクスピア』『薮原検校』に続く3作目。シェイクスピアやギリシアものは嫌だけど、という友人もこのシリーズなら行くというカテゴリーだ。
幕の開けの出演者の口上にもあったように、歌あり芝居あり・・・笑いと涙の・・・野田秀樹に松尾スズキの要素・・・?本当にと色んなものがてんこ盛り。振り返るとすごいテンポで長時間、なんだか走ったあとの爽快感と似たようなものがある!?まったく70過ぎた蜷川さんの頭はどうなっているんだろう。演劇は無形文化財ですが、蜷川さんの創り出すものはこれからも観ておかなくちゃと思う何かがある。今回のはお芝居?ミュージカル?と細かいことは考えないで圧倒的なエネルギーを体感するのだ。

タイトルの源内とは平賀源内。名前は歴史上の人物名として記憶の中に残っているが、何をした人だっけ?という程度である。
新し物好きで、頭がよくて、出世がしたくて・・・でも、運が悪かった人かもしれない。高松に生まれ、幼い頃は神童と呼ばれ、長崎で遊学して語学・医学を習得。江戸時代の文化人として名を広めるが、本人の野心とは裏腹に、地方と江戸との政治の力の間で思ったようには生きられず、職も地位も失って、民衆からも見放されて消えていく・・・というのは劇作的な部分も大きいかもしれないけど、そんな人だったの?ということが山のようにあって「へえぇ~」の連発。



各地の名産を集めて日本発の「万国博覧会」を開催。台詞にもあったけど、頭の悪い日本人は国産品の良さを知らずに外国から買っている、ってまさに現代社会にグサリとくるが、これは30年以上前に書かれた戯曲なのだから驚く。今こそオレタチ自給自足が必要なんだよ、と蜷川さんがあえて引っ張り出したんだろうか。
他にも、オランダ語を操り医学書も翻訳し、杉田玄白らの翻訳した解体新書の前に外国の人体解剖書籍を読んでたらしい。絵の具を鉱物から作って油絵を描いたり、その画法や技法を浮世絵に使わせてブームをつくったとか、劇作家として浄瑠璃や世話物を書いて大衆演劇の元祖的な存在だとか、言葉遊びの巧みさから大店の宣伝(今で言うコピーライターとかCMプランナー的な仕事)で稼いだり、裏方として江戸の町民大衆文化に大きな影響を与えていた人物。静電気をおこしたり、いろんな薬を調合したり、石綿や温度計も発明!本当に幅広い分野で活躍の博学極まりない。それなのに、藩主に反発して江戸幕府への仕官も叶わず、器用貧乏とでもいうのか浮ばれない。最後は人を殺めてしまい、獄中死。「美しい明日をお前は持っているか」と歌う中での死は、無念さの残る死に方の源内に向けられながらも、現代の私たちに「お前はそれでいいのか!」と言われているような気になった。
こんな波乱万丈な源内の一生を表裏で語られる。表の上川隆也は私が今まで観た彼の芝居の中で一番よかったかもしれない。シリアスも3枚目も野望と苦悩の人間的なところを蜷川演出をうまく消化してたというのか、こんなに芸達者な人だったの?という感じ。裏の勝村君は相変わらずの達者な人なので、彼に助けられている部分もあるけれど、彼は芝居全体の狂言回し役でもあり、やはり骨格は上川だと思う。まあ、この人はテレビで人気者になったけど、もとは舞台の人だしね。長い前半はちょっとお調子者で女好きでまだ若い源内だが、何度も挫折しながら”裏”に鼓舞され立ち上がり、”裏”にそそのかされてまた悩む。白っぽい衣装の表と黒子らしくダークな裏の2人はバラバラなのだが、芝居が進むに連れて近くなり、似て見えてくる。天使のように助けるが、時には悪魔の囁きの裏の存在が、人間だれでもある思い悩む姿なんだよね。後半、処刑された死体を使って腑分け(人体解剖)する場面は2人の源内による狂気的な凄みが伝わってきた。
首のない身体を切り刻み、内臓筋肉を取り分ける。いつもならグロイシーンと思うところだけど、歴史的にもこうやって日本の医学の扉が開いたんだと変な感動シーンにも見えた・・・。色好き大名や吉原遊郭のお子様NG的表現もあるけれど、贅沢で丁寧な舞台効果は江戸時代の武士・町民・農民の生活をリアルに学ぶこともできる奥深いものだ。(着替えと舞台回転に感心)
たくさんの言葉遊びも舞台袖のテロップ見ながら歴史物大作を読みあげた気分。(どこまでが正しい時代考察で演出効果かの切り分けは見分けられないけど!)
他の俳優陣も、いいキャスティング。みんな楽しんでいる。(舞台で笑いをこらえてる!)今回は気に触る人もいなかった。歌シーンもうるさくない。(多いかどうかはわからない)
4時間の物語は小さなネタも含めて現代と江戸の時代を行ったりきたり、休み1回で走り抜ける。役者も裏方も、頭も身体もフル回転。観てる客席も同じくらい頭の回路全開。劇中同化現象
とでもいうのか「お疲れ様でしたッ!」と言いたい気持ちで劇場をあとにした。
金曜日で、ヨカッター!(笑)
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by imusam928 | 2008-11-30 23:40 | 観劇