のんびり続ける備忘録。   今年は節約しながら旅するのだ~


by imusam928
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「若冲と江戸絵画展」@東京国立博物館平成館

d0036951_137644.jpgずいぶん前に展覧会のチラシを手にして気になっていたけど、あれよという間に話題にあがるようになってしまった”若冲”を見てきた。雨模様だし昼間ならすいてるかと思ったけど、想像以上に混雑していた。(それでもルーブル美術館展へ向かう人の波のほうが多かったかな?)

とくに日本画に興味があるというわけではないが、花・鳥・動物モチーフの作品が多くて今回のコレクションはなかなか面白かった。同じサルやトラにしても、ツルやワシにしても、構図や作風が作家ごとに異なるのがよくわかる。また同じ作家がさまざまなタッチで描いたり、弟子からまた弟子へと流派はありながらも変化していくさまも比較できる。模写も習作ではあるが、それによって独自の画風が生まれていくのだろうし、師匠の良さを学びながら自分のやりたい表現が見えてくるのだろう。
個人的には鳥は特に好きなモチーフで、写実に顔の極小の羽の様子や足の皮膚やつめの先まで描かれていたりするのに惚れ惚れしたし、群れた鶴や鶏の暖かさが伝わってくるような力強さが日本画として印象的だった。
若冲は人気の「紫陽花双鶏図」のような西洋絵画に負けない精密写実もいいが、「鶴図屏風」や晩年の「鷲図」がよかった。鶴をまるで一筆書きのように丸いからだと細い足と首でデフォルメされているようだが、しっかりと細部を観察して描かれていて、よく見てわかっているからこそ描けるフォルムだと思うし、それが連作で屏風絵になっていると計算されたリズムが構図になっているようだ。鷲の羽の表現は独特の画法を使ったものらしいが、構図のとり方も計算されて、どちらかというと現代のデザイン画のような印象をうけるタッチは今までの私の中の日本画というイメージにはあまりなかったので斬新にも映る。

展示方法としてもとても興味深いのが最後の第5室。
日本画は自然光で見るものとして描かれている、という観点から、いくつかの大型作品を変化する自然光(を模した照明)のもとで鑑賞できる。
ガラスに入れられて光が変に反射したりする無理やりな照明での絵画鑑賞は、仕方ないと思いながらたまにがっかりしてしまうことがある。すべてがそうではないが、作者はスポットライトの下で見てほしいと考えて描くことはない。今回の展示を見ながら、日本画、とくに襖絵や屏風絵のようなものは、富裕者の邸宅の奥まった大切な部屋に存在していたものであり、200年以上前の当時は明かりといえば自然光と行灯や蝋燭でしかありえないのだ。その中で愛された絵画と考えてその前に立つと、なるほど感銘する。金銀の箔や、墨の濃淡での表現力の迫力が断然違ってくるのだ!!「雪中松に兔・梅に鴉図」は雪景色の迫力ある作品だが、薄暗~薄明りの変化で印象が変わる。またそれが白地に墨絵と考えるとうなってしまう。白い部分をどうやって・・・?これから墨絵の見方が変わると思う。

コレクターのジョー・プライス氏が
今回の展示会の公式ブログにて作品ごとにコメントをあげているが、
それが本当に好きで好きで集めてしまったんだよ!
だから皆さんもひとつひとつよく見てくださいね・・・という熱意があふれてる。
たぶん自分もじっくり見たようで見ていないと思うので、時間があるときに順番に復習がてら作品を確認し、彼のコメントを読んでいこうと思う。(おっと、まだこれからの人は見ないほうが楽しみ?いや予習できるかも??)

最初のころにプライス氏の次のようなコメントがあった。

  50年前、まだ20歳過ぎの若者だった私は、
  遊びに行ったN.Y.にて伊藤若冲(じゃくちゅう)に出会い、
  そして衝撃を受けました。それが若冲の描いた絵であることも、
  さらには日本画であることさえ知らぬまま…。

20歳そこそこでコレクターに目覚めてしまったのか!?
日本ですら知られていないのに、たぶんプライス氏がコレクションしなかったら、今こうやって若冲や江戸絵画をこれだけ一同に鑑賞できる機会がなかっただろうな、と思うと20歳の彼の目利きに私は衝撃を受けてしまう・・・。のんきだったハタチのころ(笑)。
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by imusam928 | 2006-08-17 00:11 | アート・芸術