のんびり続ける備忘録。   今年は節約しながら旅するのだ~


by imusam928
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鴻池朋子展@東京オペラシティアートギャラリー

シルバーウィーク前に行って、書きかけていたもの、思い出してアップ。
芸術の秋もスタートしなくちゃだな。
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『鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人』を観てきた。
東京オペラシティアートギャラリーに行くのも初めてだったけれど、なかなかいいギャラリーだった。
私は、鴻池作品は何かコレクションの一部としてぽつぽつと見たことはあるけれど、個人展覧会としてまとまってみるのは初めてなので楽しみだった。正直、とても見応えのある内容だった!この手の現代アートは好き嫌いも分かれるだろうし、私も1点ごとの作品で見て、好きかどうかというと難しい。展示されたものもまた別の場所では印象が変わると思うし。でも、トータルの展示方法として、今回はひとつの作品のようにまとまっていた。細部まで作家の考えが行き届いた、入口から出口までの空間を含めた作品、という感じ。
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入口でチケットを見せて、振り返る。襖の奥に高い天井から吊るされた、まっ白い蚊帳の中に浮かぶ羽のついたまっ白い球体。その中へ進み入る。
視点を下に落とすと「みみお」の物語の鉛筆画が螺旋に展示。
インパクトのある襖絵とは反対に、筆圧のしっかりした鉛筆画は精密で外国の絵本の世界のよう。
春夏秋冬を象徴する一枚が自然の表現が素敵だった。もらって軽い色で着彩したくなる。

そんな鉛筆画をアニメ化した「みみお」のDVDの作品は、線は荒いけど勢いがある。
そしてどこか懐かしい感じがしたのは、80'sのA-HaのTake On MeのMVTRを思い出すからかな・・・なんて。(古い)

その後、押入れの下に体をかがめて入るような姿勢で次に進むと、真っ赤な部屋で4方に大きな作品。結果的に4作品シリーズになったとあったけれど、最初に手がけたのがChapter4だとか。どれも鴻池さんのモチーフともいえる、狼・ナイフ・(昆虫の)羽。近くで見ると細いタッチだが、作品は幅2m以上と大きい。4方から囲まれた深紅の部屋の真ん中に、椅子と甘い芳香を放つ白いカサブランカ。私はChapter1を右、4を左でその間にカサブランカを挟んだ角度から見るのが気に入った。香りとともに。↓この2つ。
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この部屋のように、今回の展示は訪れる側の私たちは視覚と触覚(実際に触れることはできないが)、聴覚と嗅覚をも刺激されながら、全身を使って、思考回路を全開で体感する。自分で何かと頭の中で交信するような、非日常へ逃避する。全体展示として地球の地表から核へ向かって進む構成で、標識に誘われながら少しずつ展示空間とともに自分の空想の世界に入り込んでいくようなイメージ。




たとえば真っ赤な部屋の次は広いスペースだった。だが、進むときは先が見えず、やはり身体をかがめていったん真っ暗な空間で鮮やかな印象をリセットされ、次の扉を開ける。それがドキドキした。チラシにもなっている襖絵。私は髑髏がダメなので、正面に飛び込む画像は気分悪いけど、その部屋は三方が襖で囲まれる。背景の壁も見上げるとクリアなナイフがつるされていた。そして脇の薄暗い通路を通り抜けてまた次の作品へ進む。さらに奥へという感じで、深い暗いイメージへ。そのときにも音楽とも何かの声ともいえない怪しいサウンドが聞こえてくる。こういうのもドキドキ増長する。

今回の展示の目玉とも言える『Earth Baby』の部屋に入るときも、闇の間をくぐるので心臓バクバクする。こういうとき一人ぽっちになるのよね。本当に危険なわけじゃないけど、想像以上の何かが自分に襲い掛かると言う緊迫感に向かう一歩。遊園地のおばけ屋敷とかダメなほうなんで(笑)。次の人も来るかな、って闇で一呼吸したけど、来ない。
幕を開けたとたん、キラッキラの宇宙空間!?ミラーボールのホール、それも直径1m以上ある巨大な頭がミラーボールとなって偏光するキラキラが部屋中に飛び回る。鍾乳洞を歩くように、ギャラリー用の歩行スペースを歩いて回る『赤ん坊』の頭を見て回る。それとじっと立ち止まっているのに偏光の動きで空間が回っているような錯覚に陥る。そしてキラキラが多すぎて目が回りそう。この部屋にいる警備員さん、酔わないのかな(笑)?この赤ん坊製作風景はビデオになって出口近くで上映されていた。こういうインスタレーションこそが、現代アートという醍醐味のように思った。創作意欲の塊。

最後の方の展示では、天井から数十匹の狼の亡骸を思わせるものがぶら下がる。その間を潜り抜けて進む通路になっているけど、おそらく嫌な人のために「こちらからも通れます」と抜け道が用意されていた。不気味だからというだけじゃなく、本物の毛がダメな人もいるだろう。他の作品にも少しは使われているけどココはさすがにビックリ。入り口でアレルギーある人への注意書きがあったのはコレのせいだ。多くの作品に登場する狼ですが、コレを見たとき驚きというより「どんだけ好きなんだ!!」という突っ込みが頭に浮かぶ私。

彼女の作品はファンタジックだけどグロテスクで、漫画のキャラクターのような生き物がいると思えば繊細画のような線描で狼の毛並みや昆虫の羽根。動物や昆虫に子供の手足、地底・空を駆け巡る。自分の子供の頃に野山で遊んでいた頃の記憶のかけらが蘇ってくる。うまく表現できないけど、懐かしい何かも感じるのだ。

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この日、内容もよかったけれど、ギャラリー(客)がよかった。
こういう感想も珍しいのかもしれないけど、いわゆる大規模美術展で人の群れにうんざりする気分を味わうことが多いので、空間の中にいる人数とその人たちの”質”というのでしょうか・・・。雨の夕方だったので、割と少なく、ほとんどが1~2人の来場。ひとつの作品+空間を鑑賞するのにMax3人という贅沢さ。
そして”質”という点では、それぞれがお互いの距離感を大事にしていて、時には並んで見入ることもあるけれど、各自が好きな角度で見上げたり見つめたりするときは、絶妙な距離で視界からずれる。だから一人でじっくり味わうこともできて、後ろから来る人は歩を止めてくれてるのがわかったりする。さりげない譲り合いというのでしょうか、芸術鑑賞が好きな人たちばかりの印象。二人で来たカップルも、気がつけばバラバラで、各々好きなペースで鑑賞中。そういう気配もふくめて大人の空気感を漂わせてたのが心地よかった。充実した時間だった。
秋には鹿児島の霧島で展示会を行うらしい。室内から屋外へ。行って見たい!

d0036951_1191796.jpgそのポスターと同じインタートラベラーくん(ちゃん?)がギャラリー出口の窓辺にいた。
ここは撮影オッケーらしい。一緒にとってほしかったけど、恥ずかしいのでこっそり撮影。次はどんな場所でどんな風に再会できるでしょうか。
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by imusam928 | 2009-10-01 23:49 | アート・芸術